2010年05月
2010年05月11日
家紋の話
紋章を家柄の誇りとして用いるふうは西欧にもみられましたが、日本で紋章らしいものが現れたのは平安時代の中期頃からです。当時勢力のあった藤原氏一族を中心に家柄を重んじるふうが盛んになるにつれて貴族は正装や乗用の車や輿に特別の模様を付けて家柄を誇り、又身分を見分けるしるしとしました。
これが発展し家紋を家のしるしとして世襲されるようになったようです。徳川の平和時代に至るや、従来の敵味方を明示する武具品、旗、馬標などは必要がなくなり、おもに威儀を正す目的に用いられるようになりました。ことに参勤交代が制定されてからは諸大名が江戸へ往来や登城に其の名字を表示する為、又大名旗本の家紋を知ることは公務上社交上に必要なので、その要求に応じ家紋を目的とした書類が生まれ諸大名の氏名、紋所、所領などを記載したものが出るようになりました。それが現代の紋帳の元祖になりました。
現在のきもの礼装にては日向の家紋黒の染抜き五つ紋付の着物、羽織及び袴の着用が正式となっています。女子にては日向の家紋黒の染抜き五つ紋付の留袖が既婚者の礼装であり未婚者は振袖の着物等が着られています。喪服も黒無地の五つ紋付です。略式には三つ紋、一つ紋、蔭紋、縫紋、などが用いられます。最近では加賀紋や花紋などで楽しんでいる着物愛好家が多くなりました。
当店では、お嫁入りで持参した留袖や喪服などの家紋直しも承っておりますのでお気軽にご相談下さい。お洒落な加賀紋もおすすめいたします。